ディオールの死後
天才クチュリエ、クリスチャン・ディオールの突然の死に、彼の周りにいた全員がパニックになりました。
彼はメゾンで働く人全てを家族のように労わり、惜しみない愛を与えていました。
そのため、彼の葬儀では、誰もが憔悴し、茫然とし、涙で咽びかえりました。
彼の棺を、彼の仲間や家族だけでなく、ライバルといわれたバレンシアガ、バルマンらクチュリエたちまでもが囲み、悲しみに暮れました。
そして、ビジネスの世界では、出資者マルセル・ブサックの動向に注目が集まります。
彼は、今後メゾン・ディオールを継続するのか?
そうでないとすれば、一体どうするのか?
実はディオールは、10周年を迎えた時点で、後継者を若きイヴ・サンローランに決めていました。
クチュリエとして、また、いち企業社長として、彼自身があまりに多忙で疲れ果てていたのです。
ですから、そろそろ引退をし、メゾンをほかの人に任せたいと考えていました。
彼の中で、サンローランの才能はずば抜けていました。
そこで、彼は未来のメゾンに向けて経営ノウハウをまとめ、遺言をしたためました。
サンローランと同じくディオールが注目していた若きクチュリエ、マルク・ボアンにもニューヨーク支店を任せるように考えていました。
ディオールのこうした事前の準備により、企業としてのディオールは、偉大なる主を失ったにも関わらず、その後も順調に経営が続くことになったのです。
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