メゾン「クリスチャン・ディオール」創設へ
クリスチャン・ディオールが将来の自分を思い描く中で、「独立」というものに対する構想が徐々に形成されていきます。
ルシアン・ルロンのメゾンに所属する友人、ピエール・バルマンは既に自身のメゾン「ピエール・バルマン」を設立していました。
ディオールが、自分の思い描くデザインを形にするために、自身のアトリエを持ちたいと思う気持ちは当然のことでしょう。
この夢を叶えてくれたのは、フランスの大富豪で「コットン王」の異名を持つ、マルセル・ブサックです。
ブサックの右腕として働く紡績工業組合会長アンリ・ファーヨルの妻が、ディオールのデザインを気に入っていたことから、ディオールはブサックに対面するチャンスに恵まれました。
そして、自分が思い描くメゾンについて、説明したのです。
それは、俗っぽいファッションが主流になってきた時代の中で、やはり美しいものを作り続けたいと願う気持ちが表れたものでした。
彼は、本物のエレガンスを身にまとう貴婦人のためだけの小さなアトリエを作りたかったのです。
幸運なことに、ブサックとディオールは、様々な価値観を供する、気の合う物同士であることがわかりました。
ブサックはディオールに出資を約束します。
こうして、戦後間もない1946年12月16日、メゾン「クリスチャン・ディオール」が誕生したのです。
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