ホームレス生活
クリスチャン・ディオールは画廊経営で破産し、家も差し押さえられ、その後暫くホームレス生活を余儀なくされました。
それは、お金持ちのボンボンとして生まれ育った彼にとって、初めての大きな試練です。
ただ、ホームレスといっても、寝るところはいつも何とかなりました。
親しい友人の誰もが彼を気遣い、また彼らはディオールの人柄が大好きだったので、一晩なら眠る場所や食料を提供してくれたのです。
彼は優しい友人たちのおかげで、どうにか生き延びることができました。
別の友人は、彼や彼のホームレスの友人のために屋根裏部屋を見つけてきてくれて、とりあえず彼は寝るところを確保できました。
そこは決して居心地のいい場所ではありませんでしたが、ホームレスのディオールにとって、友人たちと談笑する場所さえあれば、当時は十分だったのです。
しかし、彼には更なる不幸が起こります。
結核にかかったのです。
お金がないとはいえ、治療をしなければなりません。
ここでも友人たちが僅かなお金を出し合って、彼に治療を受けさせることになりました。
ディオールは、物価がパリよりも安いスペインのイビザ島に移住し、そこで1年間の療養期間を過ごしました。
イビザではパリの仲間から離れ、初めて孤独と対峙することになったのですが、そのことが却って真剣に将来を見つめ直す良いきっかけになったようです。
ホームレス生活、そして病を経験した彼は成長し、パリに戻ります。
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